当ブログの運営者の愛機、富士フイルムの「X-T5」。以前は「序章」として第一印象を書きましたが、今回は実際にX-T5で撮った写真をたっぷり使って、このカメラの魅力を全面的に紹介し直します。
この記事の写真は、すべてパソコンでの色や明るさの調整をしていない「撮って出し」です(掲載のためにサイズを小さくしただけです)。レンズもすべて、手ごろな単焦点レンズ「XC35mmF2」1本で撮っています。高価なレンズや後からの加工に頼らなくても、X-T5ならここまで写る。その実力を、動物園や水族館の写真で見ていきましょう。
先に結論:撮って出しで分かったX-T5の魅力
- 毛並みまで写し取る解像力:約4020万画素のおかげで、動物に寄っても離れても、毛の1本1本まできれいに写ります。
- 暗い水族館でも、設定しだいで撮れる:スマホでは難しいクラゲも、明るいレンズと設定の工夫で、黒い背景に浮かぶ姿を残せます。
- 何気ない景色にも雰囲気が出る:明暗のメリハリがしっかり出るので、ただの建物の写真でも絵になります。
- 気になるのは重さと値段:本体は約557gとそれなりに重く、価格も入門機よりかなり上です。
X-T5はどんなカメラ?
X-T5は、富士フイルムが2022年11月に発売したAPS-Cセンサーのミラーレスカメラです。本体の上に、シャッタースピード・ISO感度・露出補正をそれぞれ独立して回せるダイヤルが並んでいて、フィルムカメラのような操作で撮れるのが大きな特長です。
| 項目 | X-T5の仕様 |
|---|---|
| 発売 | 2022年11月 |
| センサー | APS-C、有効約4020万画素(X-Trans CMOS 5 HR) |
| 画像処理エンジン | X-Processor 5 |
| ボディ内手ブレ補正 | 5軸、最大7.0段 |
| 連写 | メカシャッターで最高約15コマ/秒 |
| 背面モニター | 3.0型、3方向チルト式 |
| 動画 | 最大6.2K/30p |
| 重さ | 約557g(バッテリー・カード込み) |
価格.comでの最安値は、本体のみで約22.8万円でした(2026年10月13日時点)。発売から時間がたった今でも、富士フイルムのAPS-C機の中では上位に位置する機種です。
今回使ったレンズ:XC35mmF2
今回の写真はすべて「XC35mmF2」で撮っています。2020年2月に発売された単焦点レンズで、発売時の希望小売価格は税別27,000円と、富士フイルムの交換レンズの中では手ごろな1本です。重さは約130gと軽く、X-T5に付けても全体がコンパクトにまとまります。
フルサイズに換算すると約53mm相当で、人の目で見た印象に近い、自然な広さで写せます。開放のF2は明るく、暗い場所に強いうえ、背景をやわらかくぼかすこともできます。最も近づいて撮れる距離は35cmなので、動物にぐっと寄った写真も撮れます。ズームはできないので、写る範囲は自分が近づいたり離れたりして決めます。
カピバラ:寄っても離れても、毛並みがきれい

まずは、こちらをじっと見つめるカピバラ。少し離れて全身を入れた写真ですが、顔のまわりの細かい毛から、前足の爪、床に落ちた干し草まで、しっかり描き分けられています。約4020万画素の高画素は、こうした「全体を撮っても細部がつぶれない」場面で特に頼りになります。

今度はぐっと寄って、顔のアップです。鼻のまわりのしっとりした質感や、ひげの1本1本まで写っています。同じF4でも、近くの被写体を撮ると背景の木箱がやわらかくぼけて、カピバラの顔が自然に浮かび上がります。
ただし、ここまで近づくとピントの合う範囲がとても浅くなります。この写真でも、ピントは鼻先に合っていて、目は少しやわらかくなっています。顔全体をくっきり写したいときは、目にピントを合わせたうえでF5.6〜8くらいまで絞るか、少し離れて撮るのがコツです。
クラゲ:暗い水族館でも、設定しだいで撮れる

水族館のクラゲは、写真の難しい被写体のひとつです。周りは暗く、クラゲはゆっくりですが動き続けています。スマホで撮ると、暗い背景を明るく見せようとして全体が灰色っぽくなったり、細い触手がノイズを消す処理でぼやけたりすることがあります。
この写真は、F2.5・1/60秒・ISO1250で撮っています。明るいレンズで光をたくさん取り込み、クラゲの動きが止まる程度のシャッタースピードを確保して、足りない明るさはISO感度を上げて補いました。黒い背景は黒いまま、細い触手もしっかり残っています。ISO1250まで上げても、ざらつきが気にならないのはうれしいところです。

こちらは、筒から紫色の触手を広げるハナギンチャクの仲間です。F2の開放、1/50秒、ISO800。青い水槽の背景に、紫の触手と中心の黄緑色が鮮やかに浮かび上がりました。色の設定は標準の「PROVIA」ですが、撮ったままでもこれだけ色がきれいに出るのは、富士フイルムならではだと感じます。
水族館で撮るときは、水槽のガラスにレンズをなるべく近づけると、照明の映り込みを減らせます。ほかのお客さんの迷惑にならないよう、フラッシュは使わず、長く場所を占領しないように気をつけましょう。
なんでもない建物も、光と影で絵になる

動物から離れて、施設の建物の一角です。木の板を横に並べた壁、白いダクト、ガラス越しの青空と新緑。とくに有名な場所でもない、なんでもない風景ですが、X-T5で撮ると不思議と雰囲気が出ます。
理由のひとつは、明るいところと暗いところのメリハリ(コントラスト)がしっかり描かれていることです。日の当たる木の壁と影の部分、白いダクトの丸い陰影がくっきり分かれ、写真に立体感が生まれています。木の板1枚1枚の木目まで残っているのは、高画素ならではです。設定はF5・1/250秒・ISO125と、明るい場所の標準的なものです。
うさぎ:色の設定ひとつで雰囲気が変わる

最後は、こちらを見上げるうさぎです。この写真だけ、色の設定を「ノスタルジックネガ」にしています。富士フイルムのカメラには、昔のフィルムのような色合いを選べる「フィルムシミュレーション」という機能があり、ノスタルジックネガは、やわらかい階調と温かみのある色が特長です。土や落ち葉の茶色、うさぎの毛の色が、少し懐かしい雰囲気の琥珀色にまとまりました。
撮り方のポイントは、カメラをうさぎの目の高さまで下げたことです。上から見下ろすのではなく、同じ目線で撮ると、表情がぐっと生き生きして見えます。F2.5で撮っているので、背景の草木は大きくぼけて、ふわふわの毛並みが引き立っています。
今回の撮影設定まとめ
| 写真 | 絞り | シャッター | ISO |
|---|---|---|---|
| カピバラ(全身) | F4 | 1/125秒 | 320 |
| カピバラ(顔) | F4 | 1/125秒 | 320 |
| クラゲ | F2.5 | 1/60秒 | 1250 |
| ハナギンチャク | F2 | 1/50秒 | 800 |
| 建物 | F5 | 1/250秒 | 125 |
| うさぎ | F2.5 | 1/160秒 | 320 |
明るい屋外ではF4〜5まで絞ってくっきり、暗い水族館ではF2〜2.5の開放付近にしてISO感度を上げる。シャッタースピードは、動物やクラゲの動きが止まる1/50〜1/250秒くらいを目安にしています。設定の意味がよくわからないときは、当ブログのカメラ用語集も参考にしてください。
使ってわかった良いところ・気になるところ
良いところ
- 撮って出しの色がいい:パソコンで仕上げなくても、そのまま人に見せられる写真になります。
- 高画素で、寄っても引いても細部が残る:動物の毛並みや建物の質感まで写せます。あとから一部を切り出しても、画質に余裕があります。
- ダイヤル操作が楽しい:電源を入れる前から、ダイヤルを見れば今の設定がわかります。撮ること自体が楽しくなるカメラです。
- 手ごろなレンズでも十分に写る:今回のXC35mmF2のように、軽くて安いレンズでも満足できる写真が撮れます。
気になるところ
- 軽くはない:本体だけで約557g。望遠レンズを付けて1日歩くと、それなりに重さを感じます。
- 値段が高め:本体だけで20万円を超えるので、はじめての1台としては気軽に選べる価格ではありません。
- 写真1枚のデータが大きい:高画素なぶん、メモリーカードやパソコンの容量を多めに用意しておくと安心です。
X-T5はこんな人におすすめ
- 動物や風景を、細かいところまでじっくり写したい人
- パソコンでの仕上げに時間をかけず、撮ったままの色を楽しみたい人
- ダイヤルを回して撮る、カメラらしい操作を味わいたい人
同じ約4020万画素のセンサーを、もっと小さく軽い本体(約438g)に収めた「X-T50」もあります。予算や重さが気になる人は、ステップアップにおすすめのカメラでX-T50と比べてみてください。もっと手ごろに富士フイルムの色を楽しみたいなら、入門機の「X-T30 III」や「X-M5」も候補です(初心者向けミラーレスの選び方と比較で紹介しています)。富士フイルムというメーカーの特徴は、カメラメーカー10社の特徴と選び方でもまとめています。
よくある質問
Q. 「撮って出し」ってどういう意味?
カメラで撮った写真を、パソコンやスマホのアプリで明るさや色を調整せず、そのまま使うことです。カメラの中で選んだ色の設定(フィルムシミュレーションなど)は反映されています。富士フイルムのカメラは、この撮って出しの色に定評があります。
Q. 最初のレンズはXC35mmF2でいい?
軽くて手ごろで、明るく自然な画角なので、単焦点レンズの入門にはとても良い1本です。ただしズームができないので、動物園で遠くの動物を大きく写したい場合は、望遠ズームレンズも検討しましょう。動物園で撮るなら、ふれあいコーナーのように近くで撮れる場所ではXC35mmF2、遠くの動物には望遠ズーム、という使い分けがおすすめです。
Q. スマホと比べて、何がそんなに違う?
いちばん大きいのは、センサーの大きさとレンズです。今回のクラゲのような暗い場所や、カピバラの毛並みのような細かい質感で、違いがはっきり出ます。くわしくはコンデジとミラーレス、どっちを選ぶ?でも解説しています。
まとめ:撮ることそのものを好きにさせてくれるカメラ
寄っても離れても毛並みまで写るカピバラ、暗い水族館に浮かぶクラゲ、光と影で絵になる建物、温かい色に包まれたうさぎ。どれも手ごろなレンズ1本と撮って出しの写真ですが、X-T5の実力は十分に伝わったのではないでしょうか。
重さや値段は気になるものの、「撮ったままの写真が好きになれる」という体験は、ほかではなかなか得られません。写真を撮ること自体を楽しみたい人に、自信を持っておすすめできる1台です。
※仕様は富士フイルム公式、XC35mmF2の発売日・価格は発表時の報道、X-T5の価格は価格.com(2026年10月13日時点)によります。掲載写真はすべて当ブログ運営者がX-T5で撮影したものです。

