動物園・水族館の撮り方ガイド|初心者でもきれいに撮れる設定とコツ

動物園・水族館をきれいに撮るコツ カメラ初心者向け

動物園や水族館は、カメラを始めた人が最初に出かけたくなる撮影スポットのひとつです。ところが実際に撮ってみると、「動物が遠くて小さい」「金網やガラスが写り込む」「水族館が暗くてブレる」と、思いどおりにいかないことも多い場所です。

この記事では、動物園や水族館をよく撮ってきた運営者が、きれいに撮るための準備・設定・撮り方のコツをまとめました。運営者が富士フイルムのX-T5で撮った写真(すべて撮って出し)を例に、具体的な設定も紹介します。スマホで撮る人向けのコツも最後にまとめています。

先に結論:うまく撮るための5つのポイント

  1. 動物園は望遠、水族館は明るいレンズ:被写体までの距離と明るさで、向いているレンズが変わります。
  2. シャッタースピードを先に決める:ブレは後から直せません。被写体の動きに合わせて速さを決めましょう。
  3. 金網とガラスは「近づいて、開放」:レンズを近づけて絞りを開けると、写り込みを大きく減らせます。
  4. ピントは目に合わせる:動物の目にピントが合っているだけで、写真が生き生きします。
  5. 動物と、ほかのお客さんへの気づかいを忘れない:フラッシュは使わず、場所をゆずり合って撮りましょう。

出かける前の準備

動物園は「望遠ズーム」があると心強い

動物園の動物は、思っているよりずっと遠くにいます。広い運動場の奥にいるキリンやゾウ、岩の上で休むライオンを大きく写したいなら、望遠ズームレンズがあると安心です。目安としては、フルサイズに換算して200〜400mmくらいまで届くレンズがあると、多くの場面に対応できます。入門機のダブルズームキットに付いてくる望遠ズームでも、十分に楽しめます。

一方で、ふれあいコーナーや、柵のすぐ近くまで来てくれる動物なら、標準レンズや単焦点レンズのほうが扱いやすいこともあります。このあと紹介するカピバラの写真は、35mmの単焦点レンズ(フルサイズ換算で約53mm相当)で撮ったものです。

水族館は「明るいレンズ」が活躍する

水族館は、動物園とは逆に「暗さ」との勝負です。開放F値がF2やF1.8といった明るい単焦点レンズがあると、暗い水槽でもシャッタースピードを確保しやすくなります。水槽までの距離は近いことが多いので、望遠よりも標準〜広角寄りのレンズが使いやすいでしょう。

あると便利な小物

  • レンズフード(特にゴム製のラバーフード):ガラスにそっと当てると、周りの光の映り込みを防げます。
  • 予備のバッテリー:動物が動くのを待ったり、連写したりすると、思った以上に電池を使います。
  • メモリーカードの空き容量:連写を多用すると、あっという間にいっぱいになります。
  • レンズを拭くクロス:ガラスに近づけて撮るうちに、レンズに指紋や汚れが付きがちです。

小物の選び方は、カメラを買ったら最初にそろえたいアクセサリーでくわしく紹介しています。三脚や一脚は、人の多い施設では使えないことがあるので、使いたい場合は事前に施設のルールを確認しておきましょう(三脚の選び方でも触れています)。

行く時間とイベントを調べておく

動物は、一日中動き回っているわけではありません。多くの動物は、朝の涼しい時間や、ごはんの時間に活発に動きます。施設のサイトで、食事の時間やガイドの時間をあらかじめ調べておくと、動きのある写真を撮れるチャンスがぐっと増えます。夏は昼間に寝ている動物が多いので、開園直後をねらうのもおすすめです。

基本の設定:まずはシャッタースピードを決める

動物園や水族館で一番多い失敗は「ブレ」です。動物の動きによるブレと、手の揺れによるブレがあり、どちらも後からは直せません。そこで、まずは被写体の動きに合わせてシャッタースピードを決め、明るさが足りない分はISO感度で補う、という考え方で設定するのがおすすめです。下の図は、被写体ごとの設定の目安です。

動物園・水族館で被写体ごとに使う設定の目安(シャッタースピード・絞り・ISO感度)

カメラの撮影モードは、シャッタースピードを自分で決めて、ほかはカメラにまかせる「シャッタースピード優先(S または Tv)」が使いやすいでしょう。ISO感度は「オート」にして、上限を3200〜6400くらいに設定しておくと、暗い場所でも自動で明るさを補ってくれます。言葉の意味が分からないときは、カメラ用語集も参考にしてください。

ピントは「追いかけるモード」と「動物の検出」

動く動物を撮るときは、ピントを合わせ続けてくれる「コンティニュアスAF(AF-C)」に切り替えましょう。最近のカメラの多くは、動物の目や顔を自動で見つけてピントを合わせる機能を持っています。メニューで被写体の検出を「動物」にしておくと、柵の向こうの動物にも素早くピントが合います。じっとしている動物なら、ピントを一度合わせて固定する「シングルAF(AF-S)」でもかまいません。

動物園で撮るコツ

金網は「近づいて、絞りを開ける」

動物園で一番の悩みが、手前の金網です。これは、レンズを金網にできるだけ近づけ、絞りを開けて(F値を小さくして)撮ると、ほとんど目立たなくなります。ピントの合う範囲が浅くなり、すぐ目の前の金網が大きくぼけて消えるためです。望遠レンズで、動物が金網から離れた位置にいるときほど効果があります。網の目のすき間にレンズの中心を合わせるのもコツです。

ピントは「目」に合わせる

目にピントが合ったうさぎ
手前の目にピントを合わせたうさぎ|X-T5+XC35mmF2、F2.5・1/160秒・ISO320

動物の写真で一番大切なのは、目にピントが合っていることです。このうさぎの写真は、手前の目にピントが合っているため、背景が大きくぼけていても、表情がはっきり伝わります。カメラの「瞳AF(動物の目を見つけてピントを合わせる機能)」を使うか、ピントを合わせる位置を目に重ねてから撮りましょう。動物がななめを向いているときは、カメラに近いほうの目に合わせるのが基本です。

近づくほど、ピントの合う範囲は浅くなる

ぐっと寄ったカピバラ。ピントは鼻先に合い、目は少しやわらかい
ぐっと寄ったカピバラ。ピントは鼻先に合い、目は少しやわらかい|X-T5+XC35mmF2、F4・1/125秒・ISO320

こちらはカピバラの顔にぐっと近づいて撮った1枚です。鼻のまわりの質感やひげはくっきり写っていますが、よく見ると、ピントは鼻先に合っていて、目は少しやわらかくなっています。F4まで絞っていても、ここまで近づくとピントの合う範囲がとても浅くなり、鼻先から目までの奥行きを全部くっきりさせるのは難しくなるのです。

顔のアップで目をくっきり写したいときは、ピントを目に合わせたうえで、F5.6〜8くらいまでさらに絞るか、少し離れて撮るのがコツです。この写真のように鼻先を強調するのもひとつの表現ですが、まずは「目にピント」を基本にしましょう。

「寄り」と「引き」を両方撮る

少し離れて撮ったカピバラの全身
少し引いて全身を入れた1枚|X-T5+XC35mmF2、F4・1/125秒・ISO320

顔のアップだけでなく、少し離れて全身や周りの様子を入れた写真も撮っておくと、見返したときの楽しさが広がります。こちらは同じカピバラを少し引いて撮った1枚。前足をそろえて座る姿や、干し草の落ちた床まで写っていて、その場の空気が伝わります。同じ動物でも、寄りと引きを撮り分けるだけで、写真の印象は大きく変わります。

目線の高さを合わせる

小さな動物は、立ったまま上から撮ると、見下ろした説明的な写真になりがちです。しゃがんで、カメラを動物の目の高さまで下げてみましょう。先ほどのうさぎの写真も、しゃがんで同じ目線から撮ったものです。同じ目線で撮ると、こちらを見つめる表情がぐっと身近に感じられます。背景も地面ではなく奥の草木になり、大きくぼけて被写体が引き立ちます。

白い動物・黒い動物は明るさを調整する

カメラは、写る範囲全体がほどよい明るさになるように、自動で明るさを決めます。そのため、ホッキョクグマのような白い動物は暗めに、ゴリラのような黒い動物は明るめに写りがちです。白い動物は露出補正をプラス、黒い動物はマイナスにすると、見た目に近い色で写せます。撮った写真を液晶で確かめながら、少しずつ調整しましょう。

水族館で撮るコツ

ガラスにレンズを近づけて、映り込みを防ぐ

水族館の写真でよくあるのが、ガラスに自分の姿や照明、展示の説明パネルが映り込む失敗です。レンズをガラスにできるだけ近づける(ラバーフードをそっと当てる)と、周りの光が入りにくくなり、映り込みを大きく減らせます。ガラスに対してななめから撮ると映り込みやすいので、なるべく正面から撮るのもポイントです。ガラスを傷つけないよう、強く押し当てないようにしましょう。

暗い水槽では「開放+ISO感度」で明るさを確保

暗い水槽で撮ったクラゲ
暗い水槽のクラゲ|X-T5+XC35mmF2、F2.5・1/60秒・ISO1250

クラゲの水槽のような暗い場所では、絞りを開放付近まで開け、シャッタースピードを確保したうえで、ISO感度を上げて明るさを補います。この写真はF2.5・1/60秒・ISO1250で撮りました。クラゲはゆっくり動くので1/60秒でも止まりますが、泳ぎの速い魚なら1/125秒以上は欲しいところです。

暗い背景は、無理に明るくしないのがきれいに見せるコツです。カメラが背景を明るくしようとして全体が白っぽくなるときは、露出補正をマイナスにすると、黒い背景に被写体が浮かび上がる写真になります。

動きの少ない生き物から練習する

水槽で撮ったハナギンチャクの仲間
動きの少ないハナギンチャクの仲間|X-T5+XC35mmF2、F2・1/50秒・ISO800

最初からすばやく泳ぐ魚をねらうと、ピントもブレも難しく感じます。まずは、イソギンチャクの仲間やサンゴ、底でじっとしている魚など、動きの少ない生き物から撮ってみるのがおすすめです。この写真のハナギンチャクの仲間は、F2・1/50秒・ISO800で撮りました。ゆっくり揺れる触手と、青い水槽の背景の色の対比がきれいに出ています。

撮影マナー:楽しく撮るために

  • フラッシュは使わない:動物や生き物を驚かせてしまいます。多くの施設で、フラッシュ撮影は禁止または控えるよう案内されています。カメラやスマホのフラッシュが自動で光らない設定になっているか、事前に確認しておきましょう。
  • ガラスをたたかない、乗り出さない:動物を呼び寄せようとガラスや柵をたたくのはやめましょう。柵から身を乗り出すのも危険です。
  • 場所はゆずり合う:人気の動物の前は混み合います。何枚か撮ったら、後ろの人と場所を交代しましょう。特に子どもの前に立ちふさがらないように気をつけたいところです。
  • 施設のルールを確認する:三脚・一脚の使用や、撮影そのものが禁止の場所もあります。案内板やスタッフの指示に従いましょう。
  • ほかのお客さんの顔に気をつける:写真をSNSなどに載せるときは、ほかのお客さんの顔がはっきり写り込んでいないか確認しましょう。

スマホで撮るときのコツ

カメラを持っていなくても、スマホでも工夫しだいで動物園や水族館の写真はきれいに撮れます。

  • 画面を指で広げるズームはほどほどに:多くのスマホでは、望遠カメラの倍率(2倍、3倍、5倍など)を超えると、画像を引き伸ばすだけになり、画質が落ちます。カメラアプリに表示される倍率ボタンを使いましょう。
  • 撮りたいところをタップする:画面の動物の顔をタップすると、そこにピントと明るさが合います。暗い水族館では、タップしたあとに明るさを少し下げると、黒い背景が締まります。
  • レンズをガラスにぴったり近づける:スマホはレンズが小さいので、ガラスに近づけるだけで映り込みをかなり防げます。
  • 連写やライブ写真を使う:動く動物は、連続で撮っておいて後から一番いい1枚を選ぶと、決定的な瞬間を逃しにくくなります。

それでも、遠くの動物を大きく写したり、暗い水族館で細かい部分まで残したりするのは、センサーが大きくレンズを交換できるカメラの得意分野です。スマホとカメラの違いはコンデジとミラーレス、どっちを選ぶ?、動物園向けのカメラ選びは初心者向けミラーレスの選び方と比較でも紹介しています。

よくある質問

Q. 動物園には何mmのレンズを持っていけばいい?

目安として、フルサイズ換算で200〜400mmくらいまで届く望遠ズームがあると、多くの動物を大きく写せます。ふれあいコーナーなど近くで撮る場面用に、標準ズームか単焦点レンズもあると便利です。センサーの小さいマイクロフォーサーズのカメラは、同じレンズでもより遠くを大きく写せるので、動物園と相性のいいシステムです(カメラメーカー10社の特徴と選び方で紹介しています)。

Q. 水族館で写真がブレてしまうのはなぜ?

暗い場所では、カメラが明るさを確保しようとしてシャッタースピードが遅くなり、手ブレや被写体ブレが起きやすくなります。シャッタースピード優先モードで1/60〜1/125秒くらいに固定し、ISO感度をオートにすると、ブレを減らせます。ほかの失敗の対策はカメラ初心者がやりがちな失敗10選でもまとめています。

Q. ISO感度を上げると画質が悪くならない?

ISO感度を上げると、写真にざらつき(ノイズ)が出やすくなります。ただ、最近のカメラはISO1600〜3200くらいまでなら、SNSやスマホの画面で見るぶんにはほとんど気にならない機種が多くなっています。ブレた写真は直せませんが、多少のざらつきは気にならないことが多いので、迷ったらISO感度を上げてブレを防ぐほうを選びましょう。

まとめ

動物園では望遠と金網対策、水族館では明るさの確保とガラスの映り込み対策。そして、どちらでも大切なのは、シャッタースピードを先に決めることと、目にピントを合わせることです。準備と設定を少し工夫するだけで、写真は見違えるほど良くなります。

なにより、動物や生き物をじっくり観察する時間そのものが、動物園や水族館での撮影の楽しさです。お気に入りの動物を見つけて、その表情をじっくりねらってみてください。この記事で使ったX-T5の写真は、X-T5 作例レビューでも紹介しています。

※設定の数値は一般的な目安です。被写体の動きや明るさに合わせて調整してください。施設の撮影ルールは、訪れる前に各施設のサイトなどで確認してください。

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