「写真って、誰が発明したの?」「カメラはいつからあるの?」。身近なわりに、意外と答えられない疑問です。この記事では、写真とカメラの歴史についてよくある疑問に、Q&Aの形でやさしく答えます。
くわしい流れは、当ブログの連載「カメラの歴史」(全5話)で紹介しています。この記事は、その要点をまとめた入り口です。
先に結論:よくある疑問の答え
- 写真を発明したのは誰?:1人ではありません。現存する世界最古の写真を撮ったのはフランスのニエプス、実用的な写真術を1839年に公表したのはダゲールです。
- カメラはいつからある?:像を映す「暗い部屋」の仕組みは古代から知られ、持ち運べる箱型の装置は17世紀の終わりまでに形が整いました。写真を「残せる」ようになったのは1820年代から1839年にかけてです。
- 日本にはいつ伝わった?:1848年に写真の機材が伝わり、1857年に日本人による撮影に初めて成功しました。
- デジタルカメラはいつから?:1975年に試作され、1995年ごろから一般の人にも広まりました。

Q. 写真を発明したのは誰?
ひとりの発明家ではなく、何人かの工夫が重なって生まれました。
- ニエプス(フランス):1827年ごろ、瀝青(ビチューメン)を塗った板を使い、自宅の窓から見た景色を写し取りました。これが現存する世界最古の写真とされています。
- ダゲール(フランス):ニエプスと手を組み、ニエプスが亡くなったあとも研究を続けて、露光時間を数分ほどに短くする方法と、像を固定する方法を見つけました。この「ダゲレオタイプ(銀板写真)」は、1839年にパリのフランス科学アカデミーで公表されました。
- タルボット(イギリス):紙を使った写真術を発表し、1841年に「カロタイプ」を公開しました。1枚のネガ(明暗が反転した原板)から何枚でも焼き増しできる方式で、のちのフィルム写真につながる考え方です。
フランス政府はダゲールらに年金を支払う形でダゲレオタイプを買い取り、広く公開しました。そのため、1839年は「写真誕生の年」と呼ばれています。くわしくはカメラの歴史 第1話で紹介しています。
Q. 世界最古の写真は、どれくらい時間をかけて撮られた?
ニエプスが1827年ごろに撮った「ル・グラの窓からの眺め」は、白目(ピューター)の板に写されています。露光時間は昔から「約8時間」とされてきましたが、近年の再現実験では、数日かかったのではないかという説もあります。いずれにしても、ぼんやりとした像で、実用にはほど遠いものでした。
Q. カメラはいつからある?「カメラ」という言葉の由来は?
「カメラ」の語源は、ラテン語で「暗い部屋」を意味する「カメラ・オブスクラ」です。暗い部屋の壁に開けた小さな穴から光が入ると、反対側の壁に外の景色が逆さに映る、という現象を指します。
- 紀元前5世紀ごろ:中国の墨子や、古代ギリシャのアリストテレスが、この現象に気づいていたとされます。
- 965年ごろ〜1040年ごろ:中世イスラム世界の学者イブン・アル・ハイサム(アルハゼン)が、像が逆さに映る理由を説明しました。
- 16世紀:穴の代わりにレンズを使うと、像が明るく鮮明になることが記されました。
- 17世紀初め:天文学者ケプラーが「カメラ・オブスクラ」という言葉を使いました。
- 1685年:ドイツのツァーンが、鏡で像を正しい向きに直す持ち運び式の装置を考えました。
こうして「像を映す箱」としてのカメラは、17世紀の終わりまでにほぼ形が整いました。ただ、映った像を残す方法はまだなく、それが実現したのが、先ほどのニエプスとダゲールの時代です。
Q. 日本に写真が伝わったのはいつ?
1848年(嘉永元年)に、長崎の商人・上野俊之丞がダゲレオタイプの機材を取り入れたことが、日本への写真伝来の始まりとされています。俊之丞は、のちに日本の写真の先駆者として知られる上野彦馬の父です。
機材を手に入れても、撮影に成功するのは簡単ではありませんでした。1857年(安政4年)、薩摩藩主・島津斉彬の姿が、側近たちの手で銀板写真に写されます。日本人の手で撮影に成功した最初の例とされ、1999年には、写真として初めて国の重要文化財に指定されました。
ちなみに、6月1日の「写真の日」は、1841年に写真機が伝わったという説をもとに決められたものです。その後の研究で、今は1848年に伝わったとする説が一般的になっています。
Q. 写真が一般の人に広まったのはいつから?
1840年代には肖像写真館がにぎわい始めましたが、多くの人が気軽に自分で写真を撮れるようになったのは、19世紀の終わりからです。
- 1888年:アメリカのジョージ・イーストマンが、100枚分のロールフィルムを入れた箱型カメラ「コダック」を発売しました。撮り終えたらカメラごと工場に送れば、現像とプリントをしてくれる仕組みでした。宣伝の言葉は「あなたはボタンを押すだけ」。値段は25ドルと、当時としては高価でした。
- 1900年:コダックが1ドルのカメラ「ブローニー」を発売し、発売初年度だけで15万台以上が出荷されたとされています。
- 1903年:日本では、小西本店(のちのコニカ)が「チェリー手提暗函」を発売しました。日本で最初に量産・市販されたアマチュア向けのカメラとされています。
くわしくはカメラの歴史 第2話で紹介しています。
Q. デジタルカメラはいつできた?
- 1969年:アメリカのベル研究所で、光を電気の信号に変える「CCD」が考え出されました。発明したボイルとスミスは、2009年にノーベル物理学賞を受賞しています。
- 1975年:コダックの技術者スティーブ・サッソンが、デジタルで記録する試作機を完成させました。画像は1万画素、1枚の記録に約23秒、重さは約3.6kgでした。
- 1995年:カシオが背面に液晶画面を備えた「QV-10」を6万5,000円で発売し、大ヒットしました。撮ったその場で写真を確かめられる撮り方は、ここから広まりました。
- 2000年:シャープが開発し、J-フォン(現在のソフトバンク)から発売されたカメラ付き携帯電話「J-SH04」で、撮った写真をメールで送る「写メール」が始まりました。
くわしくはカメラの歴史 第4話で紹介しています。
Q. ミラーレスカメラはいつから?
レンズ交換式のミラーレスカメラの最初の機種とされているのは、パナソニックが2008年10月31日に発売した「LUMIX DMC-G1」です。一眼レフの中にあった鏡(ミラー)をなくし、センサーがとらえた映像を画面に映す仕組みで、カメラを小さく軽くしました。その後の流れはカメラの歴史 第5話で紹介しています。
まとめ
写真は、ひとりの天才ではなく、古代からの「像を映す」工夫と、19世紀の化学の発見が重なって生まれました。1839年に写真が誕生してから、ロールフィルム、デジタル、ミラーレス、スマホへと、写真はどんどん身近になっていきました。
もっとくわしく知りたい方は、連載「カメラの歴史」もあわせてご覧ください。第1話(写真誕生前夜)、第2話(写真の大衆化)、第3話(日本のカメラが世界へ)、第4話(フィルムからデジタルへ)、第5話(ミラーレスとスマホの時代)の全5話です。
※年代には諸説あるものがあります。この記事では、連載「カメラの歴史」で参考にした資料(文化庁、国立科学博物館、キヤノンカメラミュージアム、ノーベル財団などの公開資料や、一般的な写真史の概説)で一般的とされている内容を採用しています(2026年10月時点)。


