はじめての単焦点レンズの選び方|3万円前後で写真が変わる理由と各社のおすすめ

はじめての単焦点レンズ カメラ初心者向け

カメラを買ってしばらくすると、「キットレンズの次に何を買えばいいんだろう」と考える人は多いと思います。その答えとして、まずおすすめしたいのが「単焦点レンズ」です。ズームができない代わりに、明るく、よくぼけて、軽い。しかも3万円前後から買えるものが多く、写真の雰囲気をがらりと変えてくれます。

当ブログで紹介している運営者の作例も、すべて約2.7万円の単焦点レンズ「XC35mmF2」1本で撮ったものです。この記事では、単焦点レンズとはどんなものか、焦点距離やF値の選び方、各社の手ごろな単焦点まで、はじめての人にもわかりやすく解説します。

先に結論:迷ったらこの1本

  • 最初の1本は「フルサイズ換算で50mm前後」:人の目で見た印象に近く、人物・動物・料理・街歩きと何にでも使えます。
  • 明るさはF1.8〜F2くらい:キットレンズより十分明るく、値段と大きさも手ごろです。
  • 予算は3万円前後から:各社とも、純正でこの価格帯の単焦点があります。
  • APS-Cのカメラなら焦点距離35mm前後、フルサイズなら50mm前後が、50mm相当の目安です。

単焦点レンズとは?ズームレンズとの違い

単焦点レンズは、焦点距離(写る範囲の広さ)が1つに決まっているレンズです。ズームレンズのようにリングを回して写る範囲を変えることはできません。そのかわり、構造をシンプルにできるので、明るく、小さく、手ごろな値段で作りやすいという特長があります。

比べるところ単焦点レンズキットのズームレンズ
明るさF1.8〜F2が多く、明るいF3.5〜5.6程度が多い
背景のぼけ大きくぼかしやすいぼかしにくい
大きさ・重さ小さく軽いものが多い機種による
写る範囲自分が動いて調整するズームで調整できる
値段3万円前後からあるキットなら割安
一般的な傾向です。レンズによって例外もあります

単焦点で写真が変わる3つの理由

1. 明るいので、暗い場所に強い

暗い水槽で撮ったクラゲ
暗い水族館もF2.5の明るさで|X-T5+XC35mmF2、F2.5・1/60秒・ISO1250

F値(レンズの明るさ)は、数字が小さいほど多くの光を取り込めます。F2はF4の約4倍、F5.6の約8倍もの光を取り込める計算です。キットのズームレンズは望遠側でF5.6前後になるものが多いので、単焦点に替えるだけで、暗い場所の撮りやすさが大きく変わります。

この水族館のクラゲは、F2.5・1/60秒・ISO1250で撮りました。同じ明るさの写真をF5.6のレンズで撮ろうとすると、ISO感度をおよそ6400まで上げるか、シャッタースピードを1/12秒くらいまで遅くする必要があります。前者はざらつきが増え、後者はクラゲの動きや手ブレで写真がぶれてしまいます。暗い水族館や室内、夕方の撮影で、明るいレンズの差がはっきり出ます。

2. 背景を大きくぼかせる

背景が大きくぼけたうさぎ
F2.5で背景を大きくぼかしたうさぎ|X-T5+XC35mmF2、F2.5・1/160秒・ISO320

F値を小さくすると、ピントの合う範囲が浅くなり、背景が大きくぼけます。このうさぎはF2.5で撮影。手前の目にピントを合わせ、後ろの草木をやわらかくぼかしたことで、うさぎの姿がくっきり浮かび上がりました。スマホのポートレートモードのような加工ではなく、レンズそのものが作る自然なぼけです。

3. 自分が動くことで、写真がうまくなる

木の壁と白いダクト、ガラス越しの緑が写った建物
立ち位置で写る割合が変わる建物|X-T5+XC35mmF2、F5・1/250秒・ISO125

ズームができない単焦点では、写る範囲を変えたいときに、自分が前に出たり下がったりする必要があります。不便に思えますが、これが写真の上達につながります。「どこに立てば、どう写るか」を考えるようになり、立ち位置やカメラの高さを工夫するようになるからです。

たとえばこの建物の写真では、木の壁と白いダクト、ガラス越しの緑の入る割合が、立つ位置を少し変えるだけで大きく変わります。何歩か前後に動いて、いちばん気持ちのいいバランスを探してみましょう。設定はF5・1/250秒・ISO125。明るい屋外では少し絞って撮ると、細部までくっきり写ります。

焦点距離の選び方

単焦点選びで一番大切なのが焦点距離です。数字が小さいほど広く写り、大きいほど遠くのものを大きく写せます。下の図は、運営者がフルサイズ換算で約53mm相当のレンズで撮った写真を切り抜いて、同じ場所から85mm相当、135mm相当のレンズで撮った場合の写る範囲を再現したものです。

焦点距離による写る範囲の違い。約53mm相当の写真に85mm相当と135mm相当の範囲を示した図
焦点距離(フルサイズ換算)写り方向いている被写体
24〜28mm広く写る(広角)風景、室内、旅行
35mmやや広め街歩き、スナップ、日常
50mm目で見た印象に近い(標準)何にでも。最初の1本に
85mm少し遠くを大きく(中望遠)人物、ペット、背景をぼかしたい写真
焦点距離ごとの一般的な目安

注意したいのは、APS-Cのカメラでは、レンズに書かれた焦点距離の約1.5倍(キヤノンは約1.6倍)の写り方になることです。たとえば35mmのレンズをAPS-Cのカメラに付けると、フルサイズの約53mm相当になります。入門機の多くはAPS-Cなので、「50mm相当がほしいなら35mm前後のレンズ」と覚えておくと選びやすくなります。くわしくはカメラ用語集でも解説しています。

F値の目安:F1.8〜F2がちょうどいい

単焦点には、F1.2やF1.4といった、さらに明るいレンズもあります。明るいほど暗い場所に強く、ぼけも大きくなりますが、そのぶん大きく、重く、高くなりがちです。はじめての1本なら、F1.8〜F2くらいが、明るさと値段、持ち歩きやすさのバランスが良い選択です。F2.8のレンズは少し暗めですが、とても薄く軽い「パンケーキレンズ」が多く、カメラを小さく持ち歩きたい人に向いています。

各社の手ごろな単焦点レンズ

入門機を使っている人向けに、各社の純正で、価格.comの最安値がおおむね5万円以内の単焦点を選びました(2026年10月13日時点)。

レンズ(重さ)APS-C機での写り方新品の最安値
キヤノン RF50mm F1.8 STM(約160g)80mm相当(中望遠)約2.9万円
キヤノン RF28mm F2.8 STM(約120g)約45mm相当(標準)約4.7万円
ソニー E 35mm F1.8 OSS(約154g)52.5mm相当(標準)約4.9万円
ソニー FE 50mm F1.8(約186g)75mm相当(中望遠)約3.2万円
ニコン NIKKOR Z DX 24mm f/1.7(約135g)36mm相当(やや広め)約3.5万円
ニコン NIKKOR Z 40mm f/2(約170g)60mm相当(標準)約3.2万円
富士フイルム XC35mmF2(約130g)約53mm相当(標準)約2.7万円
富士フイルム XF27mmF2.8 R WR(約84g)約41mm相当(標準)約4.8万円
重さは各社公表の仕様、価格は価格.comの新品最安値(2026年10月13日時点)。価格は日々変わります

メーカー別のおすすめ

  • キヤノン:手ごろさなら「RF50mm F1.8 STM」。APS-C機では80mm相当になり、人物やペットを背景をぼかして撮るのに向いています。何にでも使える標準の画角がほしいなら、薄いパンケーキの「RF28mm F2.8 STM」が候補です。
  • ソニー:APS-C機なら「E 35mm F1.8 OSS」。レンズに手ブレ補正が入っているので、本体に手ブレ補正のないVLOGCAMシリーズなどと相性が良い1本です。将来フルサイズに移るつもりなら、フルサイズにも使える「FE 50mm F1.8」もあります。
  • ニコン:APS-C機なら「NIKKOR Z DX 24mm f/1.7」。最短撮影距離が0.18mと短く、料理や小物にぐっと寄って撮れます。フルサイズでも使える「NIKKOR Z 40mm f/2」も手ごろです。
  • 富士フイルム:とにかく手ごろな「XC35mmF2」が最初の1本にぴったりです。カメラを小さくまとめたいなら、約84gと非常に軽い「XF27mmF2.8 R WR」も魅力です。

このほか、シグマなどのレンズメーカーや、海外のメーカーからも手ごろな単焦点が出ています。純正より安いものも多いので、慣れてきたら選択肢に入れてみてください。メーカーごとの特徴はカメラメーカー10社の特徴と選び方でまとめています。

買う前に確認したい4つのポイント

  1. マウントが合っているか:レンズは、カメラと同じマウント(キヤノンならRF、ソニーならE、ニコンならZ、富士フイルムならX)のものを選びます。
  2. APS-C専用か、フルサイズ対応か:APS-Cのカメラにはどちらも付けられますが、APS-C専用のレンズをフルサイズのカメラに付けると、本来の画質で使えないことがあります。将来フルサイズに移る予定があるなら、フルサイズ対応を選ぶと長く使えます。
  3. 手ブレ補正があるか:手ごろな単焦点は、レンズに手ブレ補正がないものがほとんどです。入門機の多くは本体にも手ブレ補正がないので、暗い場所ではシャッタースピードを速めにして撮りましょう。表の中では、ソニーのE 35mm F1.8 OSSだけがレンズ内に手ブレ補正を持っています。
  4. どこまで寄れるか:最短撮影距離が短いレンズほど、料理や花、小物に近づいて撮れます。表のレンズでは、ニコンのZ DX 24mm f/1.7が0.18m、キヤノンのRF28mm F2.8 STMが0.23mと短く、ソニーのFE 50mm F1.8は0.45mと長めです。

運営者の作例:XC35mmF2でここまで撮れる

この記事の写真は、すべて富士フイルムのX-T5とXC35mmF2で撮ったものです。動物園のカピバラ、水族館のクラゲ、何気ない建物まで、約2.7万円のレンズ1本でここまで写ります。ほかの作例や撮影設定はX-T5 作例レビューで、動物園や水族館での撮り方は動物園・水族館の撮り方ガイドで紹介しています。

一方で、単焦点1本だと遠くの動物を大きく写すのは苦手です。動物園によく行くなら、キットの望遠ズームと単焦点の2本を使い分けるのがおすすめです。近くで撮れる動物や暗い屋内は単焦点、遠くの動物は望遠ズーム、と役割を分けると、どちらの良さも生かせます。

よくある質問

Q. 単焦点を買ったら、ズームレンズはいらなくなる?

いいえ、役割が違うので両方あると便利です。旅行や運動会のように、すぐに写る範囲を変えたい場面ではズームが便利です。単焦点は、暗い場所や、背景をぼかしたい場面、身軽に出かけたい日に活躍します。

Q. 最初から何本も買ったほうがいい?

まずは50mm相当の1本で十分です。しばらく使ってみて、「もっと広く写したい」と感じたら広角、「もっと背景をぼかしたい」「もっと寄りたい」と感じたら中望遠、というように、足りないと感じたものを足していくと、無駄な買い物をせずに済みます。

Q. スマホのポートレートモードと何が違う?

スマホのポートレートモードは、写真の中の人物や動物を見分けて、背景をコンピューターでぼかしています。そのため、髪の毛や動物の毛、メガネのふちなどの境目が不自然になることがあります。単焦点レンズのぼけは、レンズそのものが作る光学的なぼけなので、手前から奥へ少しずつぼけていく、自然な立体感が出ます。

まとめ

単焦点レンズは、キットレンズの次の1本として、もっとも費用対効果の高い選択肢のひとつです。暗い場所に強く、背景をぼかせて、軽く持ち歩ける。そして、自分の足で写る範囲を決めることで、写真そのものがうまくなっていきます。

迷ったら、フルサイズ換算で50mm前後、F1.8〜F2の1本から始めてみてください。カメラ本体の選び方は初心者向けミラーレスの選び方と比較で紹介しています。

※レンズの仕様は各社の公表値、価格は価格.com(2026年10月13日時点)によります。掲載写真はすべて当ブログ運営者がX-T5+XC35mmF2で撮影したものです(撮って出し)。

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