カメラを買ったものの、「F値・シャッター速度・ISO感度を、それぞれいくつにすればいいの?」と迷う人は多いと思います。言葉の意味はわかっても、実際の場面で数字を決めるのは難しいものです。
この記事では、運営者がX-T5で撮った写真の撮影記録(写真に残る設定の記録)を見返して、場面ごとに数字を並べてみました。正直に言うと、当時はそこまで深く考えずに撮った写真も多いのですが、並べてみると、場面ごとの傾向がはっきり見えてきます。一般によく紹介される目安とも比べ、振り返って「こうすればよかった」と思う写真も正直に紹介します。
先に結論:場面別の設定の目安(運営者の撮影記録より)
| 場面 | 運営者の記録 | 一般によく紹介される目安 |
|---|---|---|
| 暗い水族館 | F2〜F2.5・1/50〜1/60秒・ISO800〜1250 | いちばん小さいF値、1/60〜1/125秒。ISO感度は暗さに合わせて上げる |
| 動物園の動物 | F4・1/125秒・ISO320 | 動きが少なければ1/125秒前後。よく動く動物なら1/250〜1/500秒 |
| 飛ぶ鳥 | F10・1/320秒・ISO160 | 1/1000秒以上(運営者の記録は遅め) |
| 背景をぼかしたい | F2・1/80秒・ISO640 | できるだけ小さいF値 |
| 晴れた日の風景 | F7.1〜F13・1/160〜1/300秒・ISO125 | F8〜F11前後、ISO感度はいちばん低く |
| 夜景(カメラを置いて) | F8・1秒・ISO4000 | F8前後、ISO感度は低く、シャッターは数秒(運営者の記録はISOが高め) |
撮影記録では、ほとんどの写真が「マニュアル(M)」モードで記録されていました。ISO感度については、自分で決めたのかカメラ任せだったのかを覚えていないので、この記事では記録された数字として紹介します。
おさらい:明るさを決める3つの設定

- F値(絞り):小さくするほど光をたくさん取り込み、背景もぼけやすくなります。大きくするほど、ピントの合う範囲が広がります。
- シャッター速度:速くするほど動きが止まり、遅くするほどブレやすくなります。そのぶん、遅いほど光をたくさん取り込めます。
- ISO感度:上げるほど暗い場所でも明るく撮れますが、写真にざらつき(ノイズ)が出やすくなります。
3つの設定は、どれか1つを変えると、ほかの2つで明るさを調整する関係にあります。言葉の意味はカメラ・写真用語集でもくわしく紹介しています。
場面1:暗い水族館は「F値をいちばん小さく」


水族館の2枚は、F値がF2とF2.5で、レンズの開放(いちばん小さいF値)に近い数字でした。暗い場所では、まずF値を小さくして光をたくさん取り込み、それでも足りない分をISO感度で補うのが基本です。
シャッター速度は1/50秒と1/60秒です。手ブレしにくいシャッター速度の目安として、よく「1/焦点距離(35mm判換算)秒より速く」と言われます。約53mmなら1/50秒ほどなので、この2枚はちょうどその目安のあたりで撮っていたことになります。ゆっくり動く生き物なら、このくらいでも撮れます。水族館の撮り方は動物園・水族館の撮り方ガイドでも紹介しています。
場面2:動物園の動物は「1/125秒」がひとつの目安

カピバラは、F4・1/125秒・ISO320でした。カピバラのようにあまり動かない動物なら、1/125秒ほどで十分に止まって写ります。目と鼻にしっかりピントが合っています。F値をF2などの小さい数字にするより、ピントの合う範囲が広くなるので、動物の顔全体をはっきり写したいときにも向いています。
よく動く動物や、走り回る子どもを撮るときは、シャッター速度をもっと速くしたほうが安心です。子連れで動物園に行くときのコツは子連れで動物園に行くときの撮り方で紹介しています。
振り返ると①:飛ぶ鳥はもっと速いシャッターで

飛んできた鳥に気づいて、すぐに構えて撮った1枚です。記録は1/320秒で、鳥の形がわかる程度には止まっています。ただ、これは大きな鳥がゆっくり羽ばたいていたからで、飛ぶ鳥を撮るときは、一般に1/1000秒以上がよく勧められます。
振り返ると、F10まで絞る必要はありませんでした。F値を小さくすれば、そのぶん光をたくさん取り込めるので、同じ明るさのままシャッターをもっと速くできます。動いているものを止めたいときは、まずシャッター速度を速くし、暗くなった分をF値やISO感度で補うのが基本です。
場面3:背景をぼかしたいなら「F値を小さく」

木の幹を撮ったこの写真は、F2でした。F値を小さくしたことで、背景の光が丸くぼけています。

一方、オレンジの花の写真はF5でした。後ろの草や遠くの花はぼけていますが、近くの花はわりとはっきり写っています。F値が大きいほど、ピントの合う範囲は前後に広がります。主役だけを目立たせたいときは、F値をもっと小さくするか、主役に近づいて撮るとよいでしょう。背景のぼかし方ははじめての単焦点レンズの選び方でも紹介しています。
場面4:晴れた日の風景は「絞っても明るさが足りる」

こいのぼりの写真は、F13・1/160秒・ISO125でした。晴れた屋外はとても明るいので、F値を大きくしても、ISO感度を上げずに十分な速さのシャッターで撮れます。ISO125は、X-T5の通常の設定でいちばん低い感度で、ざらつきの少ない写真になります。
構図の記事で紹介した湿原の写真も、F7.1・1/250秒・ISO125でした。風景で手前から奥までピントを合わせたいときは、F8前後がよく使われます。なお、F値を大きくしすぎると、光の性質(回折)で写りが少し甘くなることがあります。APS-Cのカメラでは、F11を超えたあたりから気になりやすいと言われるので、F8〜F11くらいが無難です。写真の構図の基本もあわせてどうぞ。
振り返ると②:夜景はISOをもっと下げられた

吊り橋の夜景は、F8・1秒・ISO4000でした。シャッターが1秒と長いので、安全に気をつけながら、柵のようなところにカメラを置いて撮りました。F8まで絞ったことで、街灯などの光が星のように伸びて写っています。
ただ、振り返ると、カメラを置いて撮るなら、ISO感度はもっと下げられたと思います。明るさは、シャッター速度とISO感度の組み合わせで決まります。同じF8なら、計算上は次のどれでも、ほぼ同じ明るさになります。
| シャッター速度 | ISO感度 | 違い |
|---|---|---|
| 1秒 | 4000 | 実際に撮った設定 |
| 4秒 | 1000 | ざらつきが減る |
| 8秒 | 500 | さらにざらつきが減る |
ISO感度を下げるほど、ざらつきの少ない写真になります。ただし、シャッターを長くするほど、風で揺れる葉や流れる雲、水面などは、より大きくぶれて写ります。カメラをしっかり固定できる三脚があると、こうした夜景も落ち着いて撮れます。三脚の選び方はカメラ三脚の選び方で紹介しています。
自分の写真の撮影記録を見てみよう
今回のように、写真には撮ったときの設定が記録されています。パソコンでは写真ファイルのプロパティ(詳細情報)から、スマホでも多くの写真アプリの「情報」画面から見られます。
うまく撮れた写真や、失敗した写真の設定を見返すと、「暗い場所ではこのくらい」「動くものはこのくらい」という自分なりの目安ができてきます。なお、撮影記録には撮影場所(位置情報)が含まれることもあります。SNSやブログに写真を載せるときは、位置情報が残っていないか気をつけましょう。
よくある質問
Q. オートで撮るのはダメ?
いいえ。オートでもきれいに撮れる場面はたくさんあります。ただ、背景をぼかしたい、動きを止めたいなど、「こう撮りたい」があるときは、自分で設定を決めたほうが思いどおりになりやすくなります。
Q. 最初はどのモードから始めればいい?
F値だけを自分で決めて、シャッター速度はカメラに任せる「絞り優先(AまたはAv)」モードから始めるのがおすすめです。慣れてきたら、F値とシャッター速度を自分で決め、ISO感度はカメラに任せる使い方もあります。
Q. ISO感度はいくつまで上げていい?
カメラによって違うので、決まった答えはありません。一般に、センサーが大きく新しいカメラほど、高い感度でもざらつきが目立ちにくくなります。自分のカメラで、いろいろな感度で撮り比べてみるのがいちばんです。
まとめ
撮影記録を場面ごとに並べてみると、暗い場所ではF値を小さく、動くものはシャッターを速く、明るい屋外ではISO感度を低く、という基本どおりの傾向が見えてきました。深く考えずに撮った写真でも、あとから記録を見返すことで、次に生かせる目安が見つかります。
まずは、自分の写真の撮影記録を見返すところから始めてみてください。カメラを始めたばかりの人がやりがちな失敗はカメラ初心者がやりがちな失敗10選でまとめています。

